アイリッシュセッター・オックスフォード
1952年、オロラセットレザーと白く底の平らな、クッションクレープソール(今日のトラクショントレッドソール)の画期的な組み合わせで今日の「アイリッシュセッター」の基礎を作った8インチブーツ、#877が発売され、その成功を契機として翌年からそのバリエーションの開発が始まりました。
1954年には、6インチブーツ875と共に、チャッカ、プルオンブーツ、オックスフォードが、同じレザーとソールを共有する「アイリッシュセッター」の新商品として発売されました。
「アイリッシュセッター」オックスフォードはこうして誕生しました。
このオックスフォードは品番#895とされ、ふたつのレザーパーツを縫い合わせたモカシン型のつま先に、5つハトメの羽根を組み合わせ、ライニングのつかない一枚革の腰革をヒールの後ろで縫い合わせて補強の市革を縫いつけたタイプです。
こうした特徴は、このオックスフォードが明らかに、#875と一緒に開発された事を物語っています。今日定番となっているワークオックスフォードとは違った生い立ちを持つ「アイリッシュセッター」ファミリーの商品なのです。
1954年に発売されたこのオックスフォード、#895は、その後10年と少し存在し、1964年のカタログに掲載されたのが最後となりました。その後も「アイリッシュセッター」ファミリーに違ったデザインのオックスフォードが加わった事もありましたが、いずれも数年を待たず姿を消しました。
#895は「アイリッシュセッター」の当初のアイデンティティーを最も色濃く反映した、幻のオックスフォードとなったのです。
#9895
今回の#9895に際しては、2011年の「アイリッシュセッター」再導入のために開発したレザー、ゴールドラセット「セコイア」を使い、1950~60年代の「アイリッシュセッター」オックスフォード#895のディテールをできる限り取り入れ、幻のオックスフォードの再現を試みました。