REDWING(レッドウィング)Irish Setter Oxford(アイリッシュセッターオックスフォード)
1950年、レッド・ウィング社はハンティングブーツの新商品に、当時新たに開発されたばかりのオレンジがかったブラウンのレザーを使用した。オロラセット・レザーである。ソールはカカト付きの白いラバー製のものであった。その色合わせが猟犬、アイリッシュ・セッターの毛並みを思わせたことから、その靴には、「アイリッシュ・セッター」というニックネームが与えられた。
その靴は翌年にはベストセラーとなり、これがもとで、1952年、アイリッシュ・セッター・シリーズとしていくつかの新商品が追加された。そのうちのひとつ、#877は発売と同時に大きな反響を呼び、ハンター達はもとより、ワーカー達からも絶大な支持を得て、その後数十年間にわたり、社のベストセラーとなった。 #877の誕生の数年後には、猟犬をデザインしたアイリッシュ・セッターのロゴが作られ、アイリッシュ・セッター・ファミリーともよべる商品群が構成される。#875、#866など、#877と並び、レッド・ウィング社を代表し、さらにアメリカを代表する靴となった名品の多くがこうして生まれた。
レッド・ウィングのアイリッシュ・セッター・ファミリーは、1980年代まで、その商品構成を少しずつ変えながらも、社のベストセラー・ブーツであり続けたが、1990年代に入ると、アメリカの作業靴、ハンティングブーツ市場の変化と共に売上げが縮小し始め、1997年には、「レッド・ウィング」とは別の独立したブランドとして、北米市場に向けた中価格帯のハンティングブーツ、作業靴のブランドに生まれ変わった。これにより従来アイリッシュ・セッターの中核商品であった#877、#875などからも「アイリッシュ・セッター」のタグは外され、「レッド・ウィング」ロゴのみが残された。
2011年、往年のアイリッシュ・セッターを懐かしむ日本市場の声に応えるべく、新たなアイリッシュ・セッター・ファミリーが投入された。このために、かつてのオロラセット・レザーを思わせるゴールド・ラセット・セコイアや茶色のクラストを持つ伝統的な黒色のレザー、ブラック・クロンダイクなどの新たなレザーが開発され、伝統的な商品ディテールとかつて親しまれたアイリッシュ・セッターのタグを持つ、商品群が、新たなアイリッシュ・セッターとしてよみがえった。