ポストマンブーツ
1954年 レッド・ウィング社が「ポリスマンとポストマンのために」として発売した、黒いドレスタイプのアッパーを持つサービスシュー(制服を着て働く人達に向けたワークシュー)#101は、フォーマルなデザインのアッパーに、厚く、底の平らな黒いソールが使われていました。これはその2年前に開発された白いトラクショントレッド・ソール(当時の名称はクッションクレープソール)をブラックにしたもので、8インチ丈のハンティングブーツ#877の成功で、効果が実証されていたものです。
軽く、クッション性に富み、優れたアーチサポートを持つこのソールは、毎日重い鞄を肩から提げて手紙を配達してまわるポストマンには、うってつけのものでした。彼らが#101を履き、その履き心地と足が疲れない事に驚いたであろうことは容易に想像できます。#101はUSポスタルサービス(アメリカ郵便局)の指定靴となり、「ポストマン・シュー」と呼ばれ、その後の何十年もの間、アメリカ全土のポストマンに愛用されました。
フォーマルなスタイルが求められるサービスシューをブラックのクッションクレープソールを使って履き心地を高める。この#101の成功要因を応用すべく、レッド・ウィング社はいくつかのバリエーションを容易しました。
このうち、#101と同様に発売されたのが、マンソンラストを用いた6インチ丈のキャップドトゥ・ブーツ、#100です。この商品は残念ながら短命に終わりました。次に、4年後の1958年、チャッカタイプの#195が発売されました。これは後にラストを#101と同じ210番ラストに変更し、品番が#196そして#9196と変わって今日に至ります。1960年にはサイドゴア(チェルシー)タイプ、#190も加わりました。ラストはペコスに使われている71番です。これはその後約10年間続きました。
こうしたバリエーションの中に初めから#101と同じ210番ラストを使用し、当時の#101のアッパーデザインをそのままブーツとした、「ポストマンブーツ」と呼ぶにふさわしいものがありました。9つハトメの6インチ丈ブーツ、#102です。その後約5年間販売されたこのブーツは当時のPOPによると、#101と同様、「ポストマンとポリスマンのため」につくられたものでした。
このポストマンブーツには、#101、#9196と同じ「SR/USA」(SlipResistant/MadeinUSAの意味)のタグが付けられていますが、これは、USポスタルサービスが、郵便配達員にタグ付きの靴の着用を義務付けたことによります。